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【PLUS Report 2016年1月号】新連載『会社の登記と司法書士』 第1回 会社の設立 ~株式会社・合同会社の設立手続~
新連載 『会社の登記と司法書士』
第1回 会社の設立~株式会社・合同会社の設立手続~
PLUS Report では、昨年から執筆担当者毎の連載企画を行っておりましたが、新たな連載として、『会社の登記と司法書士』(執筆担当:司法書士 宮城 誠)をテーマに、司法書士がどのように会社の登記に関与しているかを複数回にわたってご紹介してまいります。
『会社の登記と司法書士』の第1回目となります今月号では、会社の設立手続にスポットを当て、特に株式会社と合同会社の設立手続についてご紹介いたします。
PLUS Report では、本誌をより充実させ皆様に有益な情報を発信していくため、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。採りあげますテーマなどお気軽にご意見やご要望をお寄せ頂けましたら幸いです(PLUS Report 事務局 plus-report@plus-office.com)。
1.株式会社の設立
□ 株式会社とは
会社には複数の種類がありますが、その中でも株式会社が皆様にとっても最もなじみのある会社類型かと思います。株式会社の主な特徴は、①「所有と経営が一致しない」こと、②株主の責任が「間接有限責任」であること、が挙げられます。①の意味は、会社に対して出資をする
者(=株主)と会社を運営していく者(取締役等)が異なるということです。また②は、株主が負う責任が出資額に限定されており、かつ会社債権者から直接責任を追及されることがないということです。
□ 株式会社の設立手続
株式会社の設立手続きは以下の流れで進めていきます。
STEP1 定款の作成
まずは、会社の根本規範である定款を作成いたします。定款は、発起人(=株主となる者)が作成します。定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があります。その内容は、商号や事業目的、本店所在地などです。また、役員の任期や人数、株主総会の運営に関わることなど実際に会社を運営していくために必要な情報を記載していきます。
STEP2 定款の認証
発起人が作成した定款については、公証役場において公証人の認証を受ける必要があります。
STEP3 出資の履行
発起人は、金銭または金銭以外の財産を出資します。この出資の履行は、原則として、公証人の定款認証後に行うことになります。
STEP4 設立登記の申請
株式会社は、設立の登記を申請することによって成立します。
2.合同会社の設立
□ 合同会社とは
合同会社は、平成18年5月1日施行の会社法により創設された新しい会社類型です。合同会社の主な特徴は、株式会社と異なり「所有と経営が一致していること」です。つまり、会社に対して出資をする者(=社員)が、原則として会社を運営していくことになります。なお、社員が負う責任は、株式会社と同様に「間接有限責任」です。
□ 合同会社の設立手続
合同会社の設立手続は、以下の流れとなります。大まかな流れは株式会社と同様ですが、合同会社に特有の事項もございます。
STEP1 定款の作成
合同会社においても定款の作成が必要です。定款は、社員となろうとする者が作成します。株式会社と異なる点は、会社内部の規律について、定款で自由に定めることができる範囲が広いことです。そのため、設立する会社の用途に応じて、柔軟な会社運営を行うことが可能となります。
STEP2 定款の認証
株式会社と異なり、合同会社の定款については、公証人の認証を受ける必要がありません。
そのため、定款認証の手数料が不要となり、設立にかかるコストを抑えることが可能です。
STEP3 出資の履行
株式会社と同様、社員となろうとする者は、金銭または金銭以外の財産を出資します。
STEP4 設立登記の申請
株式会社と同様、合同会社は、設立の登記を申請することによって成立します。
(文責 : 司法書士 宮城 誠)
本レポートは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については各々固有・格別の事情・状況に応じた適切な助言を求めていただく必要がございます。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的な見解であり、当法人若しくは当グループ又は当法人のクライアントの見解ではありません。新連載『会社の登記と司法書士』
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第1回 会社の設立~株式会社・合同会社の設立手続~