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【PLUS Report 2017年4月号】連載「会社運営に役立つ法制度」 第6回 ⾒落としがちな会社の登記 〜放置し過ぎは禁物です〜

連載 『会社運営に役⽴つ法制度』

第6回 ⾒落としがちな会社の登記 〜放置し過ぎは禁物です〜

今月号は『会社運営に役立つ法制度』(執筆担当:司法書士・行政書士 小野絵里)の第6回です。

本年は、会社法が平成 18 年 5 月に施行されてから 11 年目にあたります。この平成 18 年の改正によって、株式会社における任期の上限が取締役 2 年・監査役 4 年から 10 年に延長されたため(但し、有限会社では任期の上限なし。)、特段の変更をされていない場合であれば、会社の登記を放置されているケースもあるのではないでしょうか。一方、会社法の施行から既に 10 年以上が経過していますため、特段の変更をしていない場合であっても、実は登記をしなければならないケースも少なからず生じているものと考えられます。

そこで、今回は『見落としがちな会社の登記 ~放置し過ぎは禁物です~』と題し、見落としがちな登記と放置した場合のペナルティについて解説します。

1.⾒落としがちな登記とは?

登記事項に変更が生じた場合には、2週間以内にその登記を申請しなければなりません(会社法915 条 1 項)。商号、本店、事業目的、役員などの会社の登記内容に変更が生じた場合のほか、種類株式や新株予約権を発行した場合など新たな登記事項が生じた場合なども該当します。
見落としがちな登記には、例えば以下のケースがあります。

① 役員の任期が満了している場合
② (代表)取締役等が引越ししている場合
③ 登記事項であるとの認識がない場合

① 役員の任期が満了している場合には、同じ方を再任する場合を含みます。会社法の施行から 10年が経過していますので、任期を 10 年としている場合でも、実は任期が満了しているケースも考えられます。

② (代表)取締役等が引越ししている場合は、見落とされがちなポイントです。株式会社では代表取締役のみが対象ですが、有限会社では代表取締役以外の取締役や監査役の住所も対象となる点にご注意ください。

③ 登記事項であるとの認識がない場合には、ⅰ)法改正によって登記が必要となったケースや、ⅱ)特別な定款規定を置いているために登記が必要となるケースがあります。ⅰ)には、平成 27年5月1日の法改正によって設けられた監査役の権限を会計に関するものに限定する旨の登記などがあります。定款に記載していなくても、法律上この定款規定があるものとみなされている場合があり、定められた猶予期間までに登記しなければなりません。詳細は、PLUS Report 2015 年 3 月号「会社法改正と実務のポイント②」(https://plus-office.jp/pdf/plusreport150323.pdf)を参照ください。ⅱ)には、取締役や監査役の責任免除や責任軽減の定款規定(会社法 426 条・427 条)を置いている場合や、新株予約権の行使期間が満了している場合に、その登記を遺漏しているケースなどがあります。

2.ペナルティはどんなもの?

会社の登記は、原則2週間以内の申請が義務付けられており、一定期間放置した場合について、以下のペナルティが設けられています。

① 100万円以下の過料
② 12年以上放置すると解散したものとみなされる

① 100万円以下の過料は、申請期限内に登記をしなかった場合に、(代表)取締役個人に科されるものです(会社法 976 条 1 号)。実務上、2週間の申請期限を経過によって直ちに過料が科されてはいないものの、一定の期間を経過してしまうと、裁判所からの過料の通知が(代表)取締役の個人の住所地宛に送付されます。どの程度の期間を経過した場合に過料が課されるかといった期間の基準や、実際に課される過料の金額の基準は明らかにはされていません。

② 12年以上放置すると解散したものとみなされるのは、一般に「休眠会社のみなし解散」といわれる制度です。最後に登記をしてから 12 年を経過している場合に、法務大臣による官報公告登記所からの通知がされ、これに対し何らかの登記の申請又は事業を廃止していない旨の届出のいずれもしないと、法務局の職権で解散の登記がされてしまいます(会社法 472 条)。法務局による休眠会社の整理作業は、平成 26 年度に 12 年ぶりに再開されており、今後は毎年行われることとされています。特に任期を 10 年にされている場合には、法務局からの通知に気づかず、いつの間にか解散登記をされてしまうという事態にならないよう注意が必要なポイントといえるでしょう。

3.確認のポイント

会社の登記を失念したことによって、「過料」や「みなし解散」のペナルティを受けてしまうような事態は、できれば避けたいものです。もし、しばらく登記をされていない会社があれば、今一度、会社の登記事項証明書(会社謄本)をご覧になり、役員の任期が満了していないか、住所が古いままになっていないか、定款と登記に不一致がないか、見直されてみることをお勧めします。また、法改正や特別の定款規定を置いているために必要となる登記については、そもそも登記事項証明書(会社謄本)を見ても、登記が必要なことに気づきにくい可能性も考えられます。お心あたりがある場合には、登記の専門家である司法書士にご相談されるとよいでしょう。

(文責 : 司法書士・行政書士 小野絵里)

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