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【PLUS Report 2018年1月号】連載「会社の登記と司法書士」 第6回 種類株式の概要と発行の手続

連載 『会社の登記と司法書士』

第6回 種類株式の概要と発行の手続

今月号は『会社の登記と司法書士』の第6回として、司法書士 丸山主税が担当させていただきます。今回は、資金調達や事業承継対策などの会社運営に関わる場面で活用されることも多い「種類株式」について、その全体像及び実際の導入方法について簡単にご紹介させていただきます。

1.種類株式の概念

株式会社(及び特例有限会社)の発行する株式には、原則としてその保有する株数に応じて「 ①議決権 ②剰余金の配当を受ける権利 ③残余財産の分配を受ける権利 」があり(株主平等の原則)、株主はその出資金の払込み以外には何ら義務や制約を負うものではありません。
しかしながら会社法では、定款で定めることにより「一定の事項につき内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる」と規定しており、内容の異なる株式を発行することで様々な株主のニーズに合わせることができる仕組みになっています。
発行する株式の内容に違いがあれば、それぞれがすなわち「種類株式」となります。

2.「異なる内容」とすることができる事項

種類株式として会社法で認められているものは下記の9類型です。これらの類型に当てはまらないものは、種類株式として発行できず、登記することもできません。

(※)公開会社および指名委員会等設置会社は発行することができません。

上記9つの類型を大別しますと、1~2は株式に優先権を持たせるもの、3~4は株式に一定の制約を加えるもの、5~7は株式の取得の態様を予め規定するもの、そして、8~9は株式に一定の支配権を持たせるもの、の4つに分けられるかと思います。ある種類の株式として、上記1~9のいくつかを組み合わせることも可能です。
なお、4~6の内容は種類株式としてではなく、全株式(単一)の内容とすることが可能であり、「譲渡制限株式」はその最たるものです。この場合は、内容の異なる株式はありませんので、種類株式とはいいません。

3.種類株式(内容の異なる株式)を発行するための手続

STEP1:定款の変更手続
まずは定款を変更し、会社が発行する株式として「どんな種類の株式を何株発行できるか」を定める必要があります。なお、一定の事項につき要綱として予め定めておけば、実際に種類株式を発行するときまでに、具体的な詳細を改めて株主総会や取締役会で定めるようにすることも可能です。定款で定めた株式の種類の内容は登記事項であり、「発行可能種類株式総数および発行する各種類の株式の内容」という項目で登記されることになります。但し、株式の譲渡制限に関する内容はとくに重要であることから、「株式の譲渡制限に関する規定」という項目に別枠で登記されます。

STEP2:実際の発行手続
パターン① 新株として種類株式を発行する場合
通常の増資の手続き(※本連載第2回ご参照)により発行します。募集事項の決定において、定款で定めた範囲で発行する株式の種類及び数を決めます。
パターン② 既存の株式の一部を別の種類株式へと変更する場合
内容を変更する既存の株式を保有する株主との個々の合意(保有する株式のうち、何株をどの種類の株式へと変更するかの合意)と、さらに既存の他の株主全員の同意が必要になります。

4.具体的な種類株式の内容の設計にあたって

今回は、種類株式の類型と大まかな内容をご紹介しましたが、個別の事案では、それぞれ会社様の実情に合わせて、より詳細な部分を検討する必要があります。次回以降は、実際の活用事例等も交えながら、条件や文言の適格性など、種類株式の運用面や登記の可否に結びつくポイントについてもご紹介させていただきたいと思っております。

(文責 : 司法書士 丸山 主税)

本レポートは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については各々固有・格別の事情・状況に応じた適切な助言を求めていただく必要がございます。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的な見解であり、当法人若しくは当グループ又は当法人のクライアントの見解ではありません。

連載「会社の登記と司法書士」
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