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【PLUS Report 2019年5月号】連載 『企業法務の基礎知識』

連載 『企業法務の基礎知識』

第 1 回 株主総会の運営

PLUS Report では、執筆担当者毎の連載企画を行っておりましたが、新たな連載として、『企業法務の基礎知識』(執筆担当:司法書士 野見山 香)をテーマに、会社法の視点から、会社を運営するにあた
りどのような手続きが必要なのか、司法書士がどのような登記手続で関与していくのかを複数回にわたってご紹介してまいります。
第1回となります今月号では、5月、6月は定時株主総会を開催する株式会社が多い時期となりますが、株主総会を開催するにあたりどのような手順が必要なのか、どのような決議や報告を行うのかをご紹介いたします。

1.開催時期

定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければなりません(会社法 296 条 1 項)。定款において、事業年度終了後2ヶ月又は3ヶ月以内に開催するものと定めている企業が多いため、3月決算の株式会社が多い日本では、5月、6月に開催が集中することとなります。
一方、臨時株主総会は、必要がある場合には、いつでも招集することができます(会社法 296 条 2 項)。

2.招集手続

株主総会は、原則として取締役(取締役会設置会社においては取締役会)が日時や議題等を決定した上で招集します(会社法 296 条 3 項、298 条 1 項)。招集通知の発送期限は以下のとおりです(会社法 299 条 1項)。
・公開会社 → 株主総会の日の2週間前まで
・非公開会社 → 株主総会の日の1週間前まで
・取締役会を置かない会社において1週間を下回る期間を定款で定めたとき → その期間前まで

招集通知は取締役会設置会社においては書面又は電磁的方法で行う必要がありますが、取締役会を置かない会社においては口頭や電話でも可能です。株主全員の同意があるときは、招集の手続を省略することができます(会社法 299 条 2 項、3 項、300 条)。

書面又は電磁的方法によって議決権を行使することができることとすることも可能です(会社法 298 条 1項)。この場合は株主全員の同意があっても招集手続を省略することはできません。招集通知は2週間前までに書面又は電磁的方法で発する必要があります(会社法 299 条 2 項、3 項、300 条)。

株主総会の目的である事項について、株主全員の書面又は電磁的記録による同意があれば、会議体を開催せずとも、株主総会の決議があったものとみなすことができます(会社法 319 条 1 項)。この場合では招集手続の必要がなく、100%子会社の株主総会等で利用されています。

3.開催場所

株主総会の開催場所については、定款に定めがあるときはそれに従う必要がありますが、定めがなければ本店所在地等に限ることなく、適宜定めることができます。
ただし、過去に開催した株主総会の場所と著しく離れた場所であるときは、その理由を明らかにしなければなりません(会社法施行規則 63 条 2 項)。

テレビ会議システム等を利用して複数の場所で開催することも可能です。

4.決議事項

取締役会を置かない会社では、株主総会は、株式会社に関する一切の事項について決議をすることができます(会社法 295 条 1 項)。

一方、取締役会設置会社においては、会社法上取締役会の決議事項として明記されているもの(株式の消却、株式の分割、株式無償割当て、単元株式数の減少など)以外の一切の事項について決議をすることができます。また取締役会の決議事項として明記されているものについても、株主総会で決定することができる旨の定款の定めを置くことにより、株主総会で決議をすることができます(会社法 295 条 2 項)。

5.定時株主総会の報告事項

株式会社においては、各事業年度にかかる計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出又は提供しなければなりません(会社法 438 条 1 項)
計算書類については、原則として定時株主総会の承認を受けなければならず、事業報告については取締役が定時株主総会に報告しなければなりません(会社法 438 条 2 項、3 項)。

6.議事録の記載事項

株主総会の議事については、議事録を作成しなければなりません(会社法 318 条 1 項)。議事録の記載事項は以下のとおりです。

(a) 開催日時及び場所
(b) 議事の経過の要領及び結果
(c) 会計参与が選解任に関し陳述した意見その他株主総会において述べられた一定の意見又は発言の内容の概要
(d) 出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
(e) 議長があるときは、その氏名
(f) 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

議事録(決議を省略した場合は株主全員からの同意書を含む。)は株主総会の日(又は決議があったものとみなされた日)から10年間、本店に備え置かなければなりません(会社法 318 条 2 項、319 条 2 項)。
議事録作成者は会社法上は議事録に押印義務はありませんが、原本の証明や改ざん防止の観点から、押印をされることが望ましいと思われます。
また株主総会の決議により代表取締役を定めた場合には、その議事録に変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑を押印していない限り、議長及び出席取締役の全員が議事録に押印しなければなりません。
代表取締役の変更の登記申請書にはその押印に係る印鑑証明書も添付が必要となります。

(文責 : 司法書士 野見山 香)

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