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【PLUS Report 2020年8月号】連載 『会社運営に役立つ法制度』 第13回 クラウド電子署名と登記

連載 『会社運営に役立つ法制度』
第13回 クラウド電子署名と登記

現在、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために人と人との接触の抑制が求められるなど、ビジネス上でも、従来の行動様式を見直す動きが広まっています。
そのような社会環境のなかで、会社法・商業登記の分野においても、本年5月31日付日本経済新聞朝刊1面記事「取締役会の議事録承認 クラウドで電子署名」で採り上げられていたように、変化した環境にあわせた制度の見直しが進められています。一方、これは技術的な話でもあるため、法律の専門家サイドも含めて新しい選択肢についての理解が十分には広まっていないのではないかと感じます。
そこで、今月号では、商業登記手続において、新たに認められることになった取締役会議事録における電子署名の取扱いについて、ざっくりご紹介いたします。

1.何ができるようになったのか?

登記申請に添付する取締役会議事録について、認印の押印が認められるケースについては、

 従来型(ローカル型)のものに加えて、①リモート型、②クラウド型の電子署名も認められることとなりました。

リモート型 クラウド型
利用者がサービス提供事業者のサーバーに自分の署名を設置・保管し、リモートでログインした上で当該事業者のサーバ上で利用者自ら電子署名を行うもの。 サービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うもの。
この変更に伴って、商業登記に利用できる電子署名として新たに認められるようになったのは、以下の2社のサービスです。

①「Cybertrust iTrust Signature Certification Authority」(サイバートラスト株式会社)

(クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)のサービスを利用しているものに限る。)

②「GlobalSign CA 2 for AATL」(GMOグローバルサイン株式会社)

(GMO電子印鑑Agree(GMOクラウド株式会社)又はWAN-Sign(株式会社ワンビシアーカイブズ)のサービスを利用しているものに限る。)

上記のほか、商業登記に利用できる電子署名のサービスについては、法務省のホームページに一覧が掲載されておりますので[1]、ご利用をご検討の方はご参照頂ければと思います。

[1] 法務省HP「商業・法人登記のオンライン申請について」   http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html

 

2.いつから変わるのか?

新しい取扱いは、既に開始されています(2020年6月12日(金)~)。

 

(文責 : 司法書士・行政書士 小野絵里)

 

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第13回 クラウド電子署名と登記