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【PLUS Report 2020年5月号】連載 『医療法⼈の法務』 第2回 医療法⼈の分類

連載 『医療法⼈の法務』

第2回 医療法⼈の分類

『医療法⼈の法務』(執筆担当︓司法書士 竹井 研祐)と題した連載の第2回目です。
今月号では「医療法⼈の分類」についてご紹介します。第5次改正医療法施⾏に伴い平成19年4月1日以降に設⽴される社団医療法⼈は「持分なし医療法⼈」として設⽴されることになり、それ以前に設⽴された「持分あり医療法⼈」は「経過措置医療法⼈」として存続が認められている。今回は平成19年4月1日以降の「医療法⼈の分類」について解説します。

医療法⼈の分類

1.社団医療法⼈
(1)
.経過措置医療法⼈(持分あり医療法⼈)
①.定款に出資持分に関する定めを設けている医療法⼈
↳・社員が退社した場合、出資額に応じて払戻しをする旨の定款の定めがある。
・解散した場合、残余財産を払込済出資額に応じて分配する旨の定款の定めがある。

.出資額限度法⼈
↳・社員が退社した場合、出資額を限度として払戻しをする旨の定款の定めがある。
・解散した場合、残余財産を払込済出資額を限度として分配する旨の定款の定めがある。

(2)
.新法の医療法⼈(持分なし医療法⼈)
①.定款に出資持分に関する定めを設けていない医療法⼈
ア.基⾦制度を採用していない医療法⼈
イ.基⾦拠出型医療法⼈(基⾦制度採用医療法⼈)
↳・基⾦制度を採用する旨の定款の定めがある。
・出資持分なしの医療法⼈の一類型
↳・「基⾦」とは出資持分に関する定めを設けていない医療法⼈に拠出された⾦銭やその他財産であり
当該医療法⼈が拠出者に対して、定款の定めるところにより⾦銭の返還義務を負うもの。
②.特定医療法⼈
↳・事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁⻑官の承認を受けた医療法⼈。
・税制上の優遇措置を受けることができる。
・特定医療法⼈は租税特別措置法、租税特別措置法施⾏令、厚⽣労働省告⽰で定める基準を満たすことが必要。
③.社会医療法⼈
↳・医療法第42条の2第1項各号に掲げる要件に該当し、政令で定めるところにより都道府県知事の
認定を受けた医療法⼈。
・税制上の優遇措置を受けることができる。
・医療法第42条の2柱書に定める収益事業を⾏うことができる。

2.財団医療法⼈
↳・個⼈または法⼈から拠出された財産に基づいて設⽴される医療法⼈。
・特定医療法⼈及び社会医療法⼈の認定を受けた財団医療法⼈もある。

3.医療法⼈数(平成31年3月31日現在)
医療法⼈は全体で 54,790 法⼈ありその中で「社団医療法⼈」は 54,416 法⼈(約 99.3%)、「持分あり医療法⼈」は 39,263 法⼈(約 71.7%)、「持分なし医療法⼈」は 15,153 法⼈(約 27.7%)、「財
団医療法⼈」は 374 法⼈(約 0.7%)です。「特定医療法⼈」は社団、財団合わせて 359 法⼈(約0.7%)、「社会医療法⼈」は社団、財団合わせて 301 法⼈(約 0.5%)である。

(文責 ︓ 司法書士 竹井研祐)

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