PLUS Report~民事信託編~PLUS Report

【PLUS Report ~民事信託編~第12回】委託者、信託監督人について

『新しい相続・財産管理の方法~民事信託~』

第12回 委託者、信託監督人について

委託者とは

民事信託を考える場合の主な登場人物として、これまで受託者、受益者を取り上げてきました。
今回は、民事信託で必ず登場する、信託当事者である「委託者」についてご説明いたします。
委託者とは、現在財産を持っており、その財産の管理や処分を託す人のことを言います。
民事信託は、委託者が契約、遺言、自己信託という3つの方法で行うことができます。委託者については、受託者とは違い、信託法上の資格等について、特段の制限はありません。委託者が法人であれば、法人の目的の範囲内であれば信託を行うことができ、遺言による信託であれば、15歳以上の自然人(個人)、未成年者であっても、親権者等の法定代理人の同意があれば、契約による信託をすることができます。ただし、委託者が成人であっても重度の認知症等で意思無能力状態であれば、その信託は無効です。

信託監督人とは

信託監督人とは、受託者を監視する監督者の事を言います。民事信託は必ずしも財産の管理状況等を家庭裁判所に報告する義務はないため、財産を管理する受託者が不適切な事務処理を行うことがないよう、受託者の監督者として登場します。
信託監督人の選任方法は、初めに委託者が契約や遺言で信託をする際に、信託監督人となる者を指定することによって行います。民事信託では受託者を監督するのは受益者ですが、受益者が高齢や知的障害者、未成年等で受託者の監督を十分に行うことができない特別な事情がある場合、あるいは、あらかじめ指定された者が信託監督人への就任を承諾しない場合は、利害関係人の申立てにより、裁判所による選任も認められています。
信託監督人の資格については、未成年者または被成年後見人もしくは被保佐人、当該信託の受託者は信託監督人になることはできませんが、それ以外に制限はなく、親族以外の者や、弁護士や司法書士、税理士などの専門職、または法人でも信託監督人になることができます。また、複数の信託監督人を選任することも可能です。

(文責 : 司法書士 重信吉孝)

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