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【PLUS Report 2015年7月号】新連載『会社運営に役立つ法制度』 第1回 書面決議の活用 〜機関決定の運用ツールとして〜
新連載 『会社運営に役立つ法制度』
第1回 書面決議の活用 〜機関決定の運用ツールとして〜
PLUS Report では、今月号からの新たな取り組みとして、執筆担当者毎に連載企画をスタートいたします。新連載の一つ目は『会社運営に役立つ法制度』(執筆担当:司法書士 小野絵里)です。本連載では、経営者の皆様や管理部門の皆様に知っていただきたい法制度をご紹介してまいります。微力ではございますが、ご高覧頂いた皆様に、会社運営のヒントになるような情報を少しでもお届けできるよう取り組んでまいります。どうぞ宜しくお願いいたします。
『会社運営に役立つ法制度』の第1回目となります今月号では、機関決定の新たな運用ツールの選択肢として、書面決議の制度をご紹介いたします。なお、本連載では、今後、第2回「動産・債権担保の活用~資金調達から売掛債権の保全まで~」(2015 年 11 月号掲載予定)を予定しております。
PLUS Report では、本誌をより充実させ皆様に有益な情報を発信していくため、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。採りあげますテーマなどお気軽にご意見やご要望をお寄せ頂けましたら幸いです(PLUS Report 事務局 plus-report@plus-office.com)。
1.書面決議のニーズ
株主総会や取締役会においては、会議体を開催して決議や報告をする方法のほか、書面又は電磁的記録による同意などの一定の手続きをすることによって、決議又は報告があったものとみなす 書面による決議の省略(書面決議)及び報告の省略 の制度が認められています(会社法 319条 1 項・320 条・370 条・372 条 1 項)。
外部役員を招聘されている場合 や グループ会社内で役員を兼任されている場合 など多くの役員がいらっしゃる会社では、株主総会や取締役会を開催する際、多忙な役員の方々のスケジュール調整にご苦労なさっているケースも多いのではないでしょうか。
さらに、株主が1名の 100%子会社の株主総会の場合 であれば、その子会社の株主総会を開催するよりも、唯一の株主である親会社から同意書をとりつけることによって書面決議をする方が、組織内における意思決定のプロセスに合致しているようなケースも想定されます。
このような場合、テレビ会議 や 電話会議 を利用することも有用ではありますが、書面決議及び書面による報告の省略 の制度を利用することも有効な選択肢の一つです。
株主総会
どの株式会社でも書面決議及び書面による報告の省略制度を利用することが可能です。
取締役会
・書面決議は、書面決議ができる旨の定款規定がある場合のみ、利用することが可能です。
・書面による報告の省略は、どの株式会社でも利用することが可能です。ただし、3ヵ月に1回の職務執行状況の報告については、書面による報告の省略をすることが認められていません(会社法 363 条 2 項・372 条 2 項)。
取締役会書面決議に関する定款サンプル
(取締役会の決議の省略)
第○条 取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決に加わることができる取締役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。
(注)監査役の権限が会計監査に限定されている場合
2.具体的な手続き
書面決議又は書面による報告の省略をする場合、i)提案又は報告、ii)同意、iii)決議又は報告の成立(≒決議や報告があったものとみなされる)という3つのステップを踏んで手続
きを行います。
今回は、株主総会の書面決議を例に、必要な手続きや書類をご説明いたします。
STEP1 決議事項の提案 ・・・・・・・・・・・・(作成書類:株主総会の提案書)
・提案者は、取締役 又は 株主 です。
STEP2 株主全員の同意 ・・・・・・・・・・・・(作成書類:株主総会の同意書)
・議決権を行使することができる株主全員の同意が必要です。
・書面又は電磁的記録によって同意がなされる必要があります。
STEP3 決議の成立 ・・・・・・・・・・・・・・(作成書類:株主総会議事録)
・議決権を行使することができる株主全員の同意が到達した時に、提案事項を可決した旨の決議があったものとみなされます。
本レポートは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については各々固有・格別の 事情・状況に応じた適切な助言を求めていただく必要がございます。また、本稿に記載の見解 は執筆担当者の個人的な見解であり、当法人若しくは当グループ又は当法人のクライアントの 見解ではありません。
新連載 『会社運営に役立つ法制度』
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第1回 書面決議の活用 ~機関決定の運用ツールとして~