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【PLUS Report 2016年2・3月合併号】連載『会社運営に役立つ法制度』 第3回 任期見直しのタイミング ~変化にあわせた見直しのススメ~
連載 『会社運営に役立つ法制度』
第3回 任期見直しのタイミング ~変化にあわせた見直しのススメ~
今月号は『会社運営に役立つ法制度』(執筆担当:司法書士 小野絵里)の第3回です。「任期見直しのタイミング」と題し、見直しのポイントについてご紹介いたします。
1.見直しが必要なケースとは?
平成 18 年 5 月の会社法施行により、株式の譲渡制限規定を設けている株式会社では、取締役及び監査役の任期を選任後10 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会終結時まで伸長することが可能となりました(会社法 332 条 2 項・336 条 2 項)。任期更新の手間や費用を少なくするため、10 年の任期を採用なさっている会社も少なくありません。
長期の任期を採用するメリット・デメリットには、おおむね次のものがあります。
取締役が1名のみの会社や、近しい親族の方のみが役員である会社では、定期的に役員体制を見直す必要性が乏しいケースも多いと思われます。しかし、そのような場合であっても、新たにビジネスパートナーを取締役に招聘したり、従業員を取締役に登用する局面が到来すると、役員の任期は、将来の『役員体制の見直しの機会』を確保する意味を持つことになります。
⇒ 10 年等の長期の任期を採用中の会社が、新たにビジネスパートナーを役員に招聘したり、従業員を役員に登用する場合には、任期の短縮もご検討なさることをお勧めします。
任期中の取締役等に退任を求めた場合、もし、その取締役等から辞任届の提出を拒否されてしまったときは、解任といういささか穏やかではない方法を選択せざるを得ない事態も生じ得ます。
解任すると、会社の登記に「解任」という文言が記録されます。さらに、万が一、解任の是非を巡っての対立が本格化し、解任に正当な理由があるとの主張が認められなかった場合には、残りの任期に応じた役員報酬を損害賠償として請求される可能性さえ考えられます(会社法 339 条 2 項)。
一方、任期満了した役員は、再任せずに、後任者が選任された場合には、役員の地位を失います (辞任届の提出を受ける必要がありません。)。
⇒ 定期的な任期更新の結果、役員の入れ替えがスムーズになることも起こり得ます。
2.必要な手続きは?
任期を変更するには、定款変更に関する株主総会の決議(特別決議)が必要です(会社法 309 条 2 項 11 号・332 条 2 項・336 条 2 項)。さらに、任期の期間や在任取締役等の就任時期によっては、再任等の手続きが必要となるケースもあります。
今回採りあげました役員任期の見直しのほかにも、新たな出資者が株主に加わる場合など会社の体制が大きく変わる局面においては、定款についても、変化にあわせた見直しをご検討なさった方がよいケースが見受けられます。
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(文責 : 司法書士 小野絵里)
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